CBR試験とは?現場と室内の違いや計算方法を専門記者が徹底解説
アスファルト舗装やコンクリート舗装の道路を新設・補修する際、土木設計の根幹を握る地盤指標が「CBR(シービーアール)」です。どれほど強固なアスファルト混合物を敷き均しても、それを下から支える地盤(路床)の強度が不足していれば、大型車の通過に伴い道路は瞬く間にひび割れ、わだち掘れや陥没を引き起こします。
この路床や路盤の耐力を定量的に評価し、適切な舗装の厚みを算出するために実施されるのがCBR試験(路床土支持力比試験)です。本稿では、土木実務で頻出する「現場CBR」と「室内CBR」の決定的な違い、実務で必須となる「設計CBR」「修正CBR」の導出ロジック、計算方法から現場トラブルを防ぐポイントまで、2026年現在の土質力学・道路設計基準に即して徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:CBR試験とは、標準的な砕石の貫入抵抗力(100%)と比較して路床土の地盤支持力を百分率(%)で表す試験であり、道路舗装設計の厚み決定に直結する。
- 要点2:室内CBR(配合・厚さ設計用)と現場CBR(施工後の現況確認用)では目的・条件が異なり、設計実務では統計処理を施した「設計CBR」を用いる。
- 要点3:CBR値の算出は2.5mmおよび5.0mm貫入時の試験荷重を標準荷重で除算して行い、土質試験 JIS規格(JIS A 1211 / JIS A 1222)に厳格に準拠する。
【基本解説】CBR試験とは何か?道路舗装設計を支える「路床土支持力比」の基礎知識
CBRとはCalifornia Bearing Ratioの略称で、日本語では「路床土支持力比(ろしょうどしじりょくひ)」と呼ばれます。1930年代に米国カリフォルニア州道路局で開発され、現在では日本の『舗装設計施工指針』(公益社団法人日本道路協会)や土質工学のデファクトスタンダードとして定着しています。
CBR試験の基本的な目的は、「道路の最下層にある路床(路面から約1メートルの土層)が、交通荷重にどれだけ耐えうるか」を測定することにあります。試験の基準となるのは、十分に締め固められた高品質なクラッシャーラン(粒度調整砕石)です。この標準砕石に直径50mm(断面積19.6cm²)の円柱状ピストンを一定速度(毎分1mm)で押し込んだ際の抵抗力を「100%」と定義し、対象となる土がその何割の力を持っているかを相対値(%)で評価します。
日本の土木実務においては、日本産業規格(JIS)によって明確な試験規格が定められています。
- JIS A 1211:土のCBR試験方法(室内で供試体を作製して測定する室内CBR・修正CBR)
- JIS A 1222:現場CBR試験方法(施工現場の原地盤や路盤に直接ピストンを貫入させる現場CBR)
地盤の支持力を表す指標には平板載荷試験による地盤反力係数(K値)やN値(標準貫入試験)もありますが、アスファルト舗装の厚み(舗装構成)を設計する際には、原則としてこのCBR値が用いられます。CBR値が大きければ薄い舗装断面で済み、CBR値が小さければ厚い舗装断面や地盤改良が必要になるため、工事全体の工費・工期を左右する極めて重大な指標です。
【徹底比較】室内CBRと現場CBRの決定的な違い|目的・手順・判定基準
実務現場や資格試験において多くの技術者が混同しやすいのが、「室内CBR」と「現場CBR」の使い分けです。両者は同じ貫入ピストンを用いますが、「試験を行う環境」「土の状態」「設計への適用フェーズ」が根本から異なります。
室内CBR試験は、現場から採取した土をモールド(型枠)に詰め、突固め試験を行って供試体を作製します。最大の特徴は、「供試体を4日間(96時間)水に浸して飽和状態にしてから貫入させる」という点です。これは、供用開始後に大雨や地下水位上昇によって地盤が水分を最も多く含んだ「最悪の環境条件」を人工的に再現し、安全側の強度を見積もるためです。
一方、現場CBR試験は、現地の路床面や路盤面に直接載荷装置を据え付け、ダンプトラックなどの重機後軸を反力としてピストンを地盤に押し込みます。水浸処理を行わず、「今そこにある地盤の生の支持力」をダイレクトに測定します。
| 比較項目 | 室内CBR試験(JIS A 1211) | 現場CBR試験(JIS A 1222) | 実務における位置づけ・評価 |
|---|---|---|---|
| 主な試験目的 | 舗装の厚さ設計(設計CBRの算出)、路床・路盤材料の適否判定 | 施工管理(締固め度の確認)、現況地盤の支持力診断、仮設道路の耐力確認 | 室内は「計画・設計用」、現場は「品質管理・確認用」と明確に分担される。 |
| 水浸処理(96時間) | あり(4日間の全没水浸で最悪条件を再現) | なし(試験時の自然含水状態のまま測定) | 室内CBRの方が水浸による強度低下を見込むため数値が低く出やすい。 |
| 反力装置 | 試験室内の電動載荷試験機フレーム | 積載ダンプトラック(後軸重50kN以上)などの大型重機 | 現場CBRは重機の段取りと十分な作業ヤードの確保が必須条件。 |
| 得られる指標 | 室内CBR(%)、修正CBR(%) | 現場CBR(%) | 設計CBRの算出には、現場CBRではなく室内CBRの集計値を用いる。 |
さらに実務では、「修正CBR」という概念も重要になります。修正CBRとは、盛土材料や路盤材料を対象に、突固め回数(3層17回、42回、92回など)を変えて複数作製した供試体のCBRを測定し、現場で規定される目標締固め度(例:最大乾燥密度の95%)に対応するCBR値をグラフから内挿して求める手法です。盛土材の品質基準を満たしているかを判定する決定打となります。
【実務直結】CBR試験の計算方法と設計CBRの算出ロジックを完全網羅
CBRの計算は、ピストン貫入時の荷重データを基に行われます。計算式自体は明快ですが、基準値となる「標準荷重」の数値を正確に把握しておく必要があります。
1. 単一供試体のCBR値の計算方法
貫入試験機で直径50mmのピストンを1mm/minの等速で土に貫入させ、貫入量が2.5mmおよび5.0mmに達したときの荷重(kN)を測定します。CBR(%)は次の算式で導き出されます。
・2.5mm貫入時のCBR(%)=(貫入量2.5mmにおける試験荷重 [kN] ÷ 13.4 [kN])× 100
・5.0mm貫入時のCBR(%)=(貫入量5.0mmにおける試験荷重 [kN] ÷ 19.9 [kN])× 100
※13.4kN(約1,370kgf)および19.9kN(約2,030kgf)が、標準砕石における基準荷重です。
通常、2.5mm貫入時の値と5.0mm貫入時の値を比較し、大きい方の数値をその土のCBR値として採用します(一般的には2.5mmの方が大きくなりますが、5.0mmの方が大きくなった場合は再試験を行うか、大きい数値を採用するルールがJISで規定されています)。
2. 舗装厚を決める「設計CBR」の計算ロジック
道路舗装を設計する際、採取地点ごとに測定した複数の室内CBR値をそのまま使うことはできません。地盤には必ず場所ごとのムラ(ばらつき)が存在するため、『舗装設計施工指針』に則り、統計的に安全率を見込んだ「設計CBR」を算出します。
同一工区内の複数地点(原則として1区間につき3箇所以上、通常は5〜10箇所程度)から土を採取して室内CBRを測定した場合、以下の計算手順を踏みます。
- 各地点の室内CBR値の平均値($\overline{\text{CBR}}$)を算出する。
- 測定データのばらつき幅(最大値 $-$ 最小値=$R$)を求める。
- データの外れ値を検定(棄却検定)し、異常値を除外する。
- 下式により設計CBRを計算し、小数点以下第1位を四捨五入して整数値とする。
$$\text{設計CBR} = \overline{\text{CBR}} - \frac{R}{d_2}$$
(※$d_2$は統計係数で、測定地点数によって決定されます。例:測定数$n=3$のとき$d_2=1.69$、$n=5$のとき$d_2=2.33$、$n=10$のとき$d_2=3.08$)
このように、平均値からばらつき幅を引くことで、道路全体の約75%以上の箇所でこの強度を下回らないという「信頼水準」を確保しています。求めた設計CBR(通常は3、4、6、8、12、20などの区分)と計画大型交通量(N1〜N8交通区分)をマトリクスで照合し、アスファルト表層・基層・上層路盤・下層路盤の目標等値換算厚($T_A$)を算定する流れとなります。

【実態検証】現場技術者の証言から見えたトラブル事例と失敗の落とし穴
土木工事の施工計画や現場監理において、CBR試験を巡るトラブルは後を絶ちません。施工会社や土質試験機関の関係者への取材・現場調査から、設計値と施工現場の間で生じる「3大トラブル要因」が浮き彫りになっています。
1. 4日間水浸による「膨張性粘土」の強度激減
「事前の現場簡易調査では固い粘性土に見えたため、地盤改良なしで発注された工区があった。しかし室内CBR試験で4日間の全没水浸を行ったところ、供試体が大きく水を吸って膨張(膨張比が3%以上を記録)し、CBR値が当初想定の5.0から1.2まで急降下した。結果としてセメント系固化材による路床改良の設計変更を余儀なくされ、工期が1ヶ月遅延した」(地方道路公社・元発注担当者談)
2. 現場CBRと室内CBRの数値乖離による施工不合格
盛土工事の完了検査において、現場CBR試験を実施した際に「室内試験で算出した修正CBRよりも現場CBRが大幅に下回る」という事態が頻発します。この主因は「現場の締固めエネルギー不足」または「含水比管理の失敗」です。土は最適含水比付近で締め固めないと強度が発揮されず、雨上がりの高含水比状態で重機を踏み込んでも所定の支持力比は得られません。
3. サンプリング位置の偏りによる「設計見誤り」
道路路線内の切土部と盛土部が混在する区間で、土質が異なるにもかかわらず平均化して1つの設計CBRを適用してしまった結果、部分的に舗装直後から早期疲労亀裂(ワニクラック)が発生するケースがあります。地形や土層の変化点ごとに細かく試験区間を区切るサンプリング設計が不可欠です。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「CBR値が高い=絶対に安全」の嘘
ウェブ上の技術情報や土木Q&Aフォーラムなどで散見されるのが、「CBR値さえ高ければ、どんな重構造物でも耐えられる頑丈な地盤である」という致命的な誤解です。実務に携わる技術者は、以下の2つの盲点を厳格に区別しなければなりません。
盲点1:CBRは「道路舗装の局所せん断強度」であり「基礎の沈下耐力」ではない
CBR試験は、地盤の浅い層(路床面から数十センチ程度)における局所的なせん断変形抵抗力を測定しているに過ぎません。橋梁の橋台や大型擁壁、ビルの直接基礎のような「構造物基礎」の設計には使えません。深層に軟弱粘土層が存在する場合、CBRが20%あっても、長期的には数メートル規模の圧密沈下を引き起こすリスクがあります。構造物基礎には、標準貫入試験のN値や平板載荷試験の極限支持力を用いる必要があります。
盲点2:凍上性(とうじょうせい)はCBR値では評価できない
寒冷地における道路破壊の主因となる「凍上現象(冬場に土中の水分が凍結して路面を持ち上げる現象)」は、細粒分(シルト・粘土)の含有率と地下水位に依存します。試験室の常温環境でCBRが8%以上得られていても、凍上を起こしやすい火山灰質粘性土などの場合、春先の融雪期に地盤が泥濘化して強度が完全に喪失することがあります。寒冷地舗装では、CBR試験だけでなく凍上試験(JIS A 1216等)と置換工法の検討が必須です。

【プロの結論】地盤改良・舗装工種に応じた最適試験の選定基準
道路技術者や施工管理技士が、現場の条件に応じてどの試験を採用・判断すべきか、明快なクライテリアを整理しました。
▼ 室内CBR試験を最優先すべきケース
- 新規の道路新設・拡幅工事の設計段階:舗装構成(等値換算厚)を決定するための「設計CBR」を算定する場合。
- 購入土・流用土の適否判定:路床材・路盤材として外部から搬入する土砂の品質(修正CBRが規定値以上か)を事前確認する場合。
- 路床安定処理(セメント・石灰改良)の配合設計:固化材の添加量(kg/m³)ごとの強度発現を比較検証する場合。
▼ 現場CBR試験を最優先すべきケース
- 既存道路の打換え・オーバーレイ補修時:アスファルトを剥ぎ取った直後の現況路床の支持力をその場で即日判定したい場合。
- 重機の走行性(トラフィカビリティ)確認:大型クレーンや杭打機を搬入する仮設道路の耐力を迅速に評価する場合。
- 路床・路盤施工後の出来形品質管理:設計通りの支持力が施工後の現場で発現しているかを確認する場合。
『舗装設計施工指針』において、標準的な道路の設計CBRの下限目安は「3」とされています。試験結果の設計CBRが3未満(軟弱地盤)となった場合は、そのまま舗装を載せることは認められません。一般に、①セメント・石灰等による「路床安定処理(改良工法)」、②良質土への「置換工法(厚さ30〜50cm程度)」、③ジオテキスタイル等の補強材敷設のいずれかを実施し、路床全体の設計CBRを人工的に3以上(通常は4〜6程度)まで引き上げる構造変更を行うのが土木設計の鉄則です。
【cbr 試験 と は】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:CBR試験と平板載荷試験(K値)の違いは何ですか?
A1:CBR試験は直径50mmの小径ピストンを押し込み、標準砕石に対する支持力比(%)を測るもので、主にアスファルト舗装の厚さ設計に用いられます。一方、平板載荷試験は直径30cmの載荷板を用い、地盤が1.25mm沈下したときの荷重から「地盤反力係数(K値:MN/m³)」を求めるもので、主にコンクリート舗装のスラブ設計や空港舗装、構造物基礎に用いられます。
Q2:室内CBR試験のサンプル採取量はどれくらい必要ですか?
A2:一般的な室内CBR試験(JIS A 1211)では、供試体作製および事前の突固め試験(JIS A 1210)を含めて、1地点あたり乾燥土重量で約40kg〜50kg(土のう袋2〜3袋程度)の試料採取が必要です。修正CBR試験まで行う場合は、突固め条件が増えるため約80kg〜100kgが必要となります。
Q3:CBR値の試験結果はどのくらいの数値が一般的な目安ですか?
A3:自然地盤の土質によって大きく異なります。目安として、関東ロームなどの火山灰質粘性土では1〜3%程度(軟弱路床)、砂質土では5〜10%程度、礫混じり良質土では10〜20%程度、粒度調整砕石などの上層路盤材では80〜100%以上を示します。
まとめ:道路の寿命を左右するCBR試験の本質と実務の要点
道路舗装工学において、CBR試験は舗装構造全体の寿命と安全性を左右する最重要の土質試験です。試験室で4日間の水浸を経てシビアに測定される「室内CBR」と、現場の施工品質を直接検証する「現場CBR」は、車の両輪のようにそれぞれの役割を持っています。
適切なサンプリング計画に基づき、ばらつきを考慮した「設計CBR」を正確に算定することこそが、早期ひび割れや路盤陥没といったインフラ事故を防ぐ唯一の道です。実務においてはJIS規格の手順を厳格に遵守し、土質特性に応じた適切な工法選定を行ってください。 (出典: cbr 試験 と は(Yahoo!ニュース))